人生ぴよぴよ

メンヘラが社会復帰目指す

うみのこ

美容院に行った。大学生のころから同じ美容師を指名し続けている。途中1年ほど大阪にいたので間は空いてしまったけど、帰ってきてからも変わらずこの人に頼みたいなあと思う。

自分の気持ちがささくれだってくるのは決まって髪の毛がボサボサになったときだ。前髪が伸びてうまく流さないとか、根元が黒くなってるとか、毛先が傷んでるとか。それらの問題は美容院に行くと解決する。毎月毎月、特に変えたいところなんてない。「なんとなく嫌になっちゃって」、それだけ言えば美容師のお兄さんは、「気分転換だね」と言いながら切り始めてくれる。面倒臭がりな私が毎朝ちゃんと仕事に行けるように、だれにも舐められないように、楽にセットできるように、何年もそうやって丸投げしてきた。

仕事はそんなに辛くないのに気分が上がらない。なんでかな、と思いながらトイレの鏡をぼーっと見てたら髪の毛がボサボサだった。これのせいだ、と思って美容院へ行って、さっきまでよりも可愛くしてもらった。世間の評価なんてどうでもよくて、毎秒毎秒自分のことを好きになれるし可愛いと思えるから良いんだ、これで。また明日から電車に乗って人目に晒されて働ける。目を見て話せる。また1ヶ月後、私がくさくさしたら今度はパーマをかけてもらおう。